大学の先生を少々(続き)
大学で実際に行った授業を書き留めておく。
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映像実習
A芸術大学 芸術学専攻2年
「人の話を聞きに行く−インタビューの実践−」
下道基行(写真家/美術家)
ミッション
芸術学専攻2年生6人に、映像(ビデオカメラや携帯や編集ソフトを使い)を実際に使用して、撮影・編集し映像を作る体験を作る映像実習。何を作るかの内容は任されている。1日2コマ3時間、週2回×3週間。
内容
まず最初に、もうすでにビデオカメラではなくスマートフォン(スマホ)でみんな普通に動画を撮る時代であることから、スマホを使うことを学生に提案。
そして、僕自身が作家として生徒たちと一緒に行う内容を検討。“映像を作る体験”で生徒が何を得られる授業になるのだろうかとも考える。そして、編集の面白さとか技術的な何かではなく、動画を回す事自体やその中の会話、撮影した後に動画を編集するためにもう一度向き合う事、そういう中で自分自身に何かの成長やフィードバックが起こることを目標にしようと考えた。そこで、テーマは「話を聞いてみたい誰かにインタビューを行う」ことに決定。
まず、僕自身、彼らの事を知らないこともあり、自己紹介も兼ねて、2人組×3になって、相手に対して30個の質問を考えてもらい、学内の好きな場所で、お互いに10分程度の動画を撮影してもらう。上映会は、動画は編集なしで携帯のままプロジェクターにつないで、みんなで鑑賞。学生たちからは、「自分のインタビューが恥ずかしい」「○○の知らない部分を見ることができた」「人の映像より自分の映像は相手の言葉を引き出せなかった」「動きながらインタビューすることと、座ってインタビューすることの違い」など感想があった。さらに同じテーマで撮影された6人それぞれの映像を見ることで、それぞれの撮影やインタビューの良い部分と上手くいっていない部分が際立って感じられる体験になった。
その後、下道自身が美大生時代に民俗学の授業が好きだった話、宮本常一「忘れられた日本人」を例に挙げて、“なんでもない普通の人のインタビューの面白さ”を話す。さらに、村上春樹と柴田元幸の対談「翻訳夜話」(新潮文庫)を例に挙げて、“翻訳やインタビュー、さらにその編集や書き起こし作業はその対象を自分の血肉として自分の中に取り込むより深く理解し成長するひとつの手段”であることを話す。次のインタビューの対象は、各自「自分が何かを知りたい相手」にすること。その後、映像人類学者・川瀬慈さんの映像インタビュー作品「僕らの時代は」を鑑賞。みんなで映像やインタビューについて討論。
最後の2週は、各自「誰に」「どのように」「何を聞くか」を考えて、実際に撮影し、編集して30分程度のインタビュー動画を制作。最後の日に特別講義室を借りて上映会。感想を話す。
通常、 インタビュー映像などは「新刊や展覧会のための作家にインタビュー」とか、何かしらインタビューする側とされる側、さらにはそれを受け取る側に、理由がはっきしりしていることが多い。ただ、今回の実践では「自分が知りたいことのため」に、“インタビュー”を口実に相手にいつもより深く話を聞く挑戦であった。そのために、他人が見て楽しめるような映像には仕上がっていない。しかし、彼らが芸術学を行なっていく上で、何かしらの仕事をする上で、“人に話を聞くこと”はいろいろな場面で生かされるのではないかと期待する。
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という授業内容。
前回のいう①の人間として、考えに考えたがこんな内容の授業となった。。
生徒の中に何か残る授業になったことを祈る。。
以上