直島
夕飯を食べていると、曇りガラスの向こうの空が赤く染まっている。
食事をやめて、家族で外へ出てみる。
本村の船着場には、夕方になると地元の人々が五人ほど集まってしゃべっている。
防波堤に腰を下ろし、太陽が熱が弱くなり、海を撫でた風が心地よい。
また、Hさんが直島の夕焼けや朝焼けの美しさを話してくれる。
どの季節にどの島のどのあたりから太陽が登り沈むか、そんな話。
波のない瀬戸内の水面は鏡のように夕焼けを写して、空の中にいるようだ。
海のそばに住む人だけの特権? いやいや、きっと田植え前の田園風景でみるのもきっと綺麗だろう。
都市部に住んでいた時より、明らかに、毎日の気候の変化、風景の変化、季節の変化を感じている自分に気がつく。毎日毎日。
少し前まで、娘は大量発生した毛虫に興味津々で、でも今は、カニを探し用水路を覗き込む日々。昨日、セミの抜け殻を初めて見つけて不思議そうに観察していた。
僕はというと、スタジオへの行き帰りを少し遠回りして、山の上から海を眺めることが多い。遠回りといっても、左回りで8分のとこを右回りで15分かけるだけだが。小さな島なので。