2007年2月28日 01:53 下道 基行 */?>

たまたま見た数週間前の「情熱大陸」は、日本から遠く離れたフィリピンの小さな村で助産婦として生きる冨田さんという女性の話だった。
医療の行き届かない村で、生まれてくる命と孤軍奮闘する彼女のドキュメント。
番組で特に印象に残ったのは、彼女は南国の木が茂る自宅の窓辺に座り、この土地でこのような事をするきっかけが「母の死とその結果入った保険金だ」と非常にサバサバとした口調で話すシーン。相当の決意があったであろう現在の活動のきっかけとしては、少し簡単すぎる説明のように思えた。彼女は作業的にインタビューを終え、もう話すことはないといった雰囲気でカメラを見つめていた。
その時点でインタビューは終わっているはずだったが、沈黙を続ける彼女になぜかカメラは向け続けられ、少し不自然に沈黙が画面上を支配した。しかし次の瞬間、彼女の目線がカメラから外れ表情が大きく崩れた。いろいろな想いがあふれ出したのだろう、「すみません…」と言いタオルで顔を覆った。

言葉では語りきれない事を写し取った瞬間のように感じた。


2007-02-28 01:22:35