TCAA
Tokyo Contemporary Art Awardという第一回の新しい賞をいただくことになった。これについて少し書いておく。
この数カ月間、美術手帖のサイトのトップページに記事がバンバン出ていたのでご存知かもしれないが。笑
東京都が、いや元ワンダーサイトが、いや、名前が変わったばかりの東京都のアーティストレジデンスTOCASが(くどくてすみません…)、新しい賞を作った。風間サチコさんと共にいただけたのは何より嬉しいし心強い。
(色々とご意見もあるかもしれないが、)僕自身は2010年から1年間、ワンダーサイトに滞在し、何よりたくさんの世界中のアーティストと出会えたことは本当にその後10年近い年月の原動力になっていたし、財産だと思っている。
今回のこの賞は、「中堅」に与える賞だという。だからと言って、今までの活動に対しての”頑張ったで賞”ではなくて、今回の審査員のスタジオビジットや相談をしやすい環境作りやこの賞を企画し支えるのがアーティストレジデンスのTOCASであることからも、「中堅」の海外での活動やさらなる活躍のために送られる応援、”あなたならもっとできるで賞”だろうと思った。で、僕に何ができるのだろうか悩んでいる。いや、悩んでいる暇はない進め。
今年は、5月に娘が生まれて、数週間の旅から帰るたびに劇的に成長する彼女に驚きながら過ごしている。「生きる」「生かされる」と言う感覚が揺さぶられて仕方ない。
「中堅」と言う言葉は重い。2010年くらいから若手としてポツポツ仕事が増えてきたが、2013年くらいからようやくバイトをやめて作品づくりのみの生活になったが、そこから5 年程度で、もう中堅。ま、中堅なのだ。
少年時代から大学生まで、溜め込まれていた”世の中に出るための準備”が一気に吹き出していくのを「若手」とする。(音楽でもそうだけど、デビューアルバムはいつも美しいのかもしれない。そこには様々な言葉にできない混沌と様々な過去の影響がないまぜになって発散されるから。)そこで幸運にもデビューできて少し認知されると、今度はそれを自ら乗り越えながら進んでいくだろう。その途中に「中堅」があるのか? いや、振り返る暇などまだない。
今、僕が何を書いても、「リア充」だ「自慢」だと言われるだけなのだろうけど。笑。いや、全然笑えない。今、沖縄那覇の1800円のゲストハウスのドミトリーのベットの上で、発表の予定もない作品の構想を悶々と考えている。韓国資本らしく、スタッフの青年が政府同士のいざこざで起こったお客のキャンセルを嘆いているのを聞きながら。
もちろん恵まれているとは思う。こんな時間を与えてくれる家族や応援してくれる人々。ただ正直、なぜ生きているか分からないほどの生活が目の前にある。詳細は書かないが本当だ。安定を求める気持ちをぐっと抑えながら、不安定極まりない状況下を、道無き道を手探りで進む日々。後戻りなどできない一本の道を、自分の感覚を頼りに。
そして、なんか、注目されることで、色々と人に好き勝手言われて、心が少し落ちることもあるけれど。足を引っ張られてる暇はない、進むしかない。杭は出てしまった。叩かれたら凹んでしまう心がここにはあるのだけれど。自分の前のこの世界を自分で全力で楽しみながら駆け抜けるしかない。娘が免疫を作るためによく高熱を出しているが、僕も熱を出して免疫を作っているのだろう。
TCAAはすでに2回目の公募を開始した。
TCAAは、選んで賞金あげて終わりではなく、色々と相談にも乗ってくれるし、並走してくれると思う。
もし、興味のある方は是非。
ご報告まで。