『「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」―コレクティブ以後のアート 』
ヴェネチアビエンナーレ日本館カタログ第二弾
『「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」―コレクティブ以後のアート 』
ヴェネチアビエンナーレ日本館2019のオープン時にカタログ第一弾を出版しました。それはプロセスを中心としたヴィジュアル本でしたが、今回、帰国展に合わせて第二弾カタログを刊行いたします。下道はシリーズ『津波石』との出会いをエッセイ2万字で、さらに石倉さんと「多良間島の津波石」を書いています。それぞれがこの経験を踏まえて文章を寄せています。
単行本: 248ページ
出版社: torch press
言語: 日本語, 英語
発売日: 2020/4/17
この度、アーティゾン美術館で行われる第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館帰国展「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」に際して、本展の内容をつぶさに振り返り、またそこから発展させた様々な現代におけるトピックを、作家自身や、多彩な表現者との対話によって再考する一冊を刊行します。
「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」は、キュレーターの服部浩之を中心に、美術家、作曲家、人類学者、建築家という4つの異なる専門分野のアーティストが協働し、人間同士や人間と非人間の「共存」「共生」をテーマに構成されました。ジャンルの異なる5人によるコレクティブを「共異体」を呼び、「津波石」を起点に、創作神話、映像作品、音楽、その音を出す装置としてのバルーンなど複数の要素が、ひとつの展示空間で共鳴し合います。本書においても、論考、インタビュー、展示風景のみならず、日記形式の制作プロセスや参加作家による振り返り座談までを収録しています。
本書では、2022年に開催されるドクメンタ15のディレクターを務めるルアンルパのアデ・ダルマワンや、新しいエコロジー思想を唱える哲学者・思想家の篠原雅武らを迎え、現代美術において注目を集める様々なトピックを考察しています。エッセイにおいても、文化人類学的な視点を含んだアプローチや、音楽と美術の境界、物質として残らない作品や展覧会のアーカイブなど、それぞれが現在的な美術の問題を扱っています。
現代の神話が生まれるとき、作家は何を考え、実践したのか──。ひとつの展覧会から広がる可能性の数々、あるいはコレクティブとしての意義を共に考えることで、同時代を生き抜くための指南書となるでしょう。